6年前に家族5人でフィリピン・セブに移住したマサです。
現在、3人の子供たち(小学6年、4年、2年)はセブの私立小学校に通っています。
フィリピンの義務教育は13年と、日本とは異なっています。
また、留年や飛び級も当たり前で、実際に我が子も経験しています。
ここでは、フィリピンの教育制度について、実際の経験を踏まえてご紹介します。
フィリピンの義務教育
フィリピンの義務教育期間や休暇について
フィリピンの義務教育は合計13年です。
日本の義務教育期間は9年なので4年間も長いです。
内訳は以下のようになっています。
フィリピンの教育制度について、実際の経験を踏まえてご紹介します。教育制度には、その国の文化や習慣、歴史などが色濃く反映されています。フィリピンの義務教育は13年と、日本とは異なっています。また、留年や飛び級も当たり前です。
幼稚園 | kindergarten | 1年間 |
小学校 | Grade School | 6年間 |
中学 | JuiorHigh School | 4年間 |
高校 | Seior High School | 2年間 |
合計 | 13年間 |
現在は、コロナの影響で、例年とは違っており、また、学校によっても異なりますが、フィリピンの各学期は概ね以下のようになっています。
- 1学期 6月~8月中旬
- 2学期 8月中旬~10月
- 3学期 11月~12月
- 4学期 1月~3月
長期休暇は、夏休みの3月下旬~5月。
他に、2学期から3学期の間の1週間(semestral break)、3学期後にクリスマス休暇が1週間~2週間あります。
日本のように冬休みや春休みなどはなく、夏休みにまとめて休むという感じです。
フィリピンでは以前は初等中等教育が10年間だった
フィリピンでは、以前は初等中等教育が10年間でした。
初等教育(小学校)が6年間、中等教育(High School=高校)が4年間の6-4制でした。
しかし、フィリピンは他の国と比べて基礎学力が低下していることや、高校卒業時が16歳であること、海外との制度の違いによる扱いの違いなどの問題により、教育改革が行われました。
その結果、2013年にアメリカで主流の教育制度K-12(k twelve)が導入されました。
これが現行の義務教育(13年制)で、アメリカ同様K-12と呼ばれています。
アメリカでも幼稚園から高校卒業までのK-12期間は、ほとんどの州では無償で公的な教育が提供されています。
ちなみに、日本の初等中等教育は、小中高 6-3-3の12年制です。
フィリピンの公立学校と私立学校の違い
フィリピンでは、裕福層の子どもたちは、幼稚園から教育環境が整っている私立学校へ通い、一般の家庭の子どもたちは授業料が無料の公立学校で学ぶのが一般的です。
生徒数は圧倒的に公立学校の方が多いです。
フィリピンの教育は,50年に及ぶアメリカの植民地の影響を受けた公立系と,300年に及ぶスペインの植民地時代のカトリック教会によって施された教育の流れを汲む私立系とに大別される。公立初等教育制度は1902年に導入された。
2017年10月現在,フィリピン国内には,5、965の公立校及び4,910の私立校,計10,875校が存在する。
引用:諸外国・地域の学校情報(外務省)
フィリピンの公立学校は、教室不足、教師不足、教科書不足という問題を抱えています。
フィリピンでは子供の数が多いため、生徒は昼間と夜間に振り分けて、同じ教室を分担して使っています。
以前、雇っていたメイドさんも公立学校を卒業していましたが、教科書は別の子供が使えるように、使い終わったら学校に返していたと言っていました。
フィリピンの授業科目
英語教育は幼稚園からはじまり小学校高学年では基本的に授業は英語で行われています。
私立学校では基本的に英語ですが、公立学校では小学校低学年は現地語を使って行うようです。
フィリピンの私立小学校の科目(私の子供たちの小学校の例)
- Reading(英語・読解)
- Language&Spelling(英語)
- Mathcmatis(算数)
- Science(科学)
- Filipino (フィリピンの国語、タガログ語)
- Social Studies(社会)
- Music(音楽)
- Arts(図工)
- Physical Education (体育)
- Health (健康)
- Chinese(中国語)
- Christian Life Formation(キリスト教に関連した道徳のような授業)
どの学校も英語、算数、科学、タガログ語、社会が中心です。
そして、フィリピン国民の90%はキリスト教のため、キリストの教えに基づいた道徳教育の授業があることが特徴的です。
私の子供たちの学校は、中華系の学校のため中国語が取り入れられていますが、私立学校では学校に応じた特色があると思います。
また、フィリピンでは、生徒同士で考えたり発表し合うグループワークが多いです。
英語が公用語のフィリピンでは、全ての科目を英語で学んでいるため、英語留学や教育移住など英語を学ぶのに適しています。
ただ、タガログ語やキリスト教に基づいた道徳授業などは、私たち外国人にとっては関心が薄く、学習意欲を維持するのが大変です。
授業時間は少なくても1つの科目なので、落とすことができませんが、私たち親はほとんど理解できないので、あまり教えることもできず、苦労します。
フィリピンでは、小学校でも留年や飛び級が当たり前
フィリピンでは、義務教育の規定が厳格
フィリピンの義務教育で日本と大きく違う点として、留年や飛び級が当たり前にあるという点です。
日本では、親には教育を受けさせる義務があります。
日本の就学率はほぼ100%で、長期欠席だったり登校日数がゼロでも義務教育の中学までは進級、卒業できます。
一方、フィリピンでは義務教育の規定が厳格で、授業日数や成績などが規定に達しないと小学生でも落第します。
また、家庭の事情等で、途中から学校に通う場合は年齢に関係なく幼稚園からスタートします。
義務教育の規定が厳格なのはアメリカも同様のようです。
それと、フィリピンの公立学校では、成績上位の生徒を発表して称えるそうです。
私立学校では、学校によって異なりますが、私の子供たちが以前通っていた小学校では、朝礼で全ての成績で9割以上だった生徒を発表し、表彰していました。
私の息子も一学年落として幼稚園に入園
私は6年前の移住当時、子供たちは5歳、3歳、1歳でした。
英語力ゼロでセブの私立幼稚園に入園しましたが、5歳の長男と次男は年相応の学年より1つ落としました。
他の日本人の方から、英語力が追い付けば、年相応の学年に上がることができると聞いていたので、そのようにしました。
クラスメイトの中にもそうした子がいて、珍しくはなく、また、1学年下がっていることで負い目を感じるという風潮もありませんでした。
均一性や画一性に重きが置かれている日本と比べて、多様性を受け入れているような雰囲気があり、年齢や学年といった面にもこだわっていない感じがしました。
長男は入園半年後に学校側と面談して、年相応のクラスに進級できました。 ペーパーテストの結果や授業態度などが認められた結果です。
次男は入園後すぐに年相応クラスに上がり、その後、飛び級を打診されましたが、日本等と卒業時の年齢が異なるのを不安に感じ、断りました。
一方、長女は幼稚園の年中の時に、担任に勧められ1年飛び級しました。
その後も年相応の学年より1年上のまま小学校に進んでいます。
フィリピンの教育制度~日本との違い まとめ
以上、フィリピンの教育制度についてご紹介しました。
フィリピンでは、ほとんどの教科を英語で学んでいます。
そのため英語を理解することが必須ですが、そのことが英語留学や教育移住などで世界に知られるベースとなっています。
小学校で留年や飛び級、成績優秀者の発表など、日本では考えられないことがありますが、教育制度には、その国の文化や習慣、歴史などが色濃く反映されていると思います。