2020年10月1日現在の情報です。
6年前にフィリピン・セブに移住した私が、ロックダウン下の状況をお伝えします。
セブのすべての地域は、2020年10月1日から31日まで、コミュニティ隔離措置4段階のうち一番緩いMGCQの対象となりました。
最近は、全体としては緩和傾向にありますが、依然として21歳未満および60歳以上の人は外出禁止のままとなっており、子供たちや高齢者にとって厳しいものとなっています。
フィリピン全体の状況や今後の学校の動向等を含めて解説します。
「21歳未満および60歳以上の人は外出禁止」については以下の記事をご覧ください。

私の住んでいるマンダウエ市はセブ州の中にあり、州都・セブ市の隣にあります。
それぞれ別々の市ですが、大体の場合、両方を含めて、一般的に知られている「セブ」という言い方で書いています。
2020年10月のフィリピンのコミュニティ隔離措置の状況
フィリピンのコミュニティ隔離措置の種類
フィリピンのコミュニティ隔離措置は以下の4種類あります。(措置内容の厳しい順)
- ECQ (Enhanced Community Quarantine)
- MECQ ( Modified Enhanced Community Quarantine)
- GCQ(General Community Quarantine)
- MGCQ ( Modified General Community Quarantine)
高リスク | 中リスク | 中リスク・ 低リスク |
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ECQ | MECQ | GCQ | MGCQ | |
外出 | 認可された事業所での勤務、生活に必要な物資やサービスを得る場合に限定される。(ただし、運動、集会、学校については下記参照) | |||
運動 | 不可 | マスク着用、他者との距離確保、道具の共用なしで、他者との接触のない屋外スポーツは可能(ウ ォーキング、ジョギング、ランニング、自転車) |
ECQ に加えて、ゴルフ、水泳、テニス、バドミントン、射撃、乗馬、スケートボードも可能。 クラブハウスのレストランとカフェは店舗の 30%以内で夜 9 時まで営業可能。 |
屋内、屋外を問わず、他者との接触のないスポーツは可能。 |
集会 | 不可 | 宗教関連は 5 名まで可 | 宗教関連は 10 名または会場定員の 10%まで可 | 会場定員の半分まで可 |
交通 | 公共交通運休、航空は限られた国際便のみ | 航空:限られた国際便 管理された入国(フィリピン人の帰国等) 自転車など動力装置のない交通手段を奨励 |
乗員間の距離を確保し、安全管理を徹底した上で公共交通運行 | 公共交通、民間交通機関ともに、運輸省ガイドラインの下で通常通り運行(ただし、乗員間の距離を1m 以上確保) |
学校 | 対面授業は中止(学校施設。閉鎖) | (基礎教育)2020 年 8 月 24日~2021 年 4 月末を想定 (高等教育)2020 年 9 月開講を想定 対面授業は最小限の運営 |
対面授業も限定的に可能 (衛生管理を徹底。地方自治体の了解が必要) |
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政府 | 最小限の人員が出勤、他は在宅勤務等 | 全員出勤も可能(代替勤務形態を推奨) |
フィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況
IATF(新型コロナウィルス感染対策のための省庁横断タスクフォース)の関連決議概要(仮訳・ジェトロ)を元に作成
ECQ、MECQ、GCQ が適用されている地域において、以下の者は外出を禁止する。ただし、営業/操業を認められている事業所での勤務、または必要不可欠な物資を調達するための外出は例外とする。
フィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況
各事業所は、これらの者の勤務について、在宅勤務のような代替的な勤務形態を導入するよう勧奨する。
a) 18 歳~21 歳の者
b) 60 歳以上の者
c) 免疫不全、合併症等の健康リスクを持つ者
d) 妊婦
e) 上記の者と同じ住居に住む者
IATF(新型コロナウィルス感染対策のための省庁横断タスクフォース)の関連決議概要(仮訳・ジェトロ)
他にも各業種ごとに、営業規模や人員など細かな規制があります。
2020年10月1日~31日 コミュニティ隔離措置は緩和傾向
在フィリピン日本国大使館からの連絡によると、各地域のコミュニティ隔離措置は以下の通りです。
①GCQを課す地域
バンサモロ暫定自治地域(BARMM)の南ラナオ州
②GCQを課す地域
・マニラ首都圏全域
・カラバルゾン地域(地域4)のバタンガス州
・東ビサヤ地域(地域8)のタクローバン市
・西ビサヤ地域(地域6)のイロイロ市、バコロド市
・北ミンダナオ地域(地域10)イリガン市
③MGCQを課す地域
①②以外の地域
セブ州の各都市は4つの中で最も緩いMGCQです。セブ市や私の住んでいるマンダウエ市(セブ市の隣)は、これに該当します。
・屋内、屋外を問わず、他者との接触のないスポーツは可能。
・集会も会場定員の半分まで可
・交通機関はガイドラインの下で通常通り運行
・対面授業も限定的に可能
など、かなり緩和された感じです。
ちなみに、マニラは1ランク厳しいGCQ でした。
半年間もの間、子供や高齢者が外出禁止という深刻な事態
セブでは3月下旬からロックダウンがはじまりました。
これまでの実に半年間、21歳未満および60歳以上の人が外出禁止という深刻な事態となっています。
最初にご紹介した「フィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況」では、ECQ、MECQ、GCQ が適用されている地域において「21歳未満および60歳以上の人が外出禁止」となっています。
これからすると、セブ市やマンダウエ市が該当する「MGCQ」はこれに当てはまらないはずですが、8月末のセブ市長名の文書「latest Executive Order No. 89 specifying the MGCQ guidelines」では、依然として「21歳未満および60歳以上の人が外出禁止」となっています。
子供や高齢者の外出禁止はいつまで続くのでしょうか。
フィリピン・セブ・ロックダウン下の日常
東南アジアで最多の感染者数だが、ロックダウンは緩和の方向か?

2020年10月2日現在で、フィリピンの感染者数は314,079人、死者は5,562人で、感染者数は世界21位。
東南アジアでは一番多くなっています。(数値は米国・ジョンズ・ホプキンス大学特設サイトより)
今回、データ見て、ヨーロッパのドイツ(23位・295,539人)を上回り、イタリア(19位・317,409人)に迫っていたのには驚きました。
ロックダウンもなかなか効果を上げられず、収束の目途もたたない状況ですが、経済的に厳しくなってきているためか、コミュニティ隔離措置は緩和の方向へ動いているように思います。
セブ市内の様子

セブ市やマンダウエ市では、少し前から都市間の移動もできるようになり、人や車の流れも以前ほどではないにしろ、戻ってきた感じがします。
交通の関係では、タクシーは以前のように走っています。
しかし、市民の最もメジャーな足である「ジプニ―」と呼ばれる乗り合い自動車は姿をみなくなりました。
代わりに、日本にもあるような大型バス、中型バスが増えたように思います。

外に出る時は、マスク、フェイスシールド、QurantenePass(市が発行する通行証)は必須です。

QurantenePass
特にスーパーやコンビニ、銀行、病院などは、マスクとフェイスシールドがないと入れません。入口で検温を行い、ほとんどの場所では、名前と住所、連絡先、検温の結果を記載しなければなりません。
これは、感染者が発生した場合に、連絡を取るためではないかと思います。
また、ソーシャルディスタンスを取るよう、張り紙や床のシールなどに書かれています。
ロックダウンが半年も続いており、現地の人はマスクやフェイスシールドをするのが当たり前になっているようです。
QurantenePassは、一家に1枚しかもらえず、スーパーなどでは、これを持った人しか(家族でも2人以上はNG)入ることができなかったのですが、最近はそれほど厳格にチェックしないところも多くなったように思います。

セブ市内の銀行の窓口です。カウンターをビニールで仕切っています。
病院、薬局、郵便局、PC修理店などカウンターのある店舗はこのようにしているところが多いです。
ロックダウン下の学校について

私立学校ではオンライン授業
私の子供3人の小学校(プライベートスクール)では、コロナの影響で6月に始まる予定だった学校が休校となり、8月からオンライン授業を開始しました。
他の私立学校でもオンラインを行っているようです。
いつから通常授業に戻るかは発表されておらず、オンライン授業がしばらくは続くように思います。
子供たちは、クラスメイトと同じ空間で学ぶ、遊ぶ、おしゃべりするなどといったリアルなコミュニケーションがしばらくできない。また、体育館やグラウンドなど、運動できる施設を全く利用できないのは、可哀そうですが、今は限られた環境の中でできることをやっていくしかないと思います。
同じ学校に通う日本人の中には、日本に行った後にロックダウンが始まり、セブに戻ってこられなくなって、日本でオンライン授業を受けている方もいます。
確かにオンライン授業は、世界中どこにいても受けられるというメリットはありますね。
公立学校は10月5日開校予定
公立小学校は、当初6月から8月に開校を延長しています。
大統領は当初の8月までの開校延期を、10月5日までを延長する声明を発表しており、予定通りだと10月5日がスタートです。(参考:フィリピン教育省 Official Statement on the Opening of Classes)
最初にご紹介した「各隔離措置の認められる活動」の表では、セブ市やマンダウエ市が該当する「MGCQ」では、「対面授業は最小限の運営」。
マニラ市が該当する「GCQ」では、「対面授業も限定的に可能」となっています。
表現が微妙で、どちらも似たような内容のように思いますが、ディスタンスを取れば授業可能ということでしょうか。
ただ、21歳未満の人は外出禁止となっているので、対応が大変そうです。
以下の新聞社のニュースサイトでは、DepEd(教育省)が10月5日の開校に向け、全力で準備を行っており、遠隔授業やモジュール(プリントや自己学習など)を使用した授業など、様々な授業のやり方を準備していると報道されています。
モジュールはどのようなものか正確には分かりませんが、プリント教材のようなもので、親が受け取りに行き、課題を提出するといった形のようです。

また、以下のニュースサイトでは、マンダウエ市では、DepEdが10月に入ってモジュール配布などの準備を順調に行っていることが報道されています。
セブの公立学校は、人数に対して施設のキャパが十分ではないためか、これまで午前クラスと午後クラスに別れて授業を行うなど、十分な体制が整っていない状況のようでしたが、コロナ下で果たして、どのような形でスタートするのでしょうか。
コロナ下で対応が難しいとは思いますが、政府の対応が不十分だと、今でも問題となっている教育格差が更に広がってしまう恐れがあると思います。
まとめ
新型コロナの感染状況は、いまだ収束の目途は経っていませんが、半年間もロックダウンが続いているので、経済的にも緩和の方向にせざるを得ないのでしょう。
ロックダウン下の規制等は、日本と比べて、トップダウンで有無を言わせず実行するという強権的な印象が強いです。
フィリピン人は陽気で楽観的といわれていますが、ここまでロックダウンが続くと、不満やストレスを抱えている方も多いではないでしょうか。
ただ、見た目には、ロックダウン下の規制や決まり事に粛々と従っている印象を受けます。