日本語本の多読は英語教育にプラス?【セブ教育移住で考察】

英語多読

6年前に一家で、子供の教育のためフィリピン・セブに移住したマサです。

小学生の子供たち3人は現地の私立小学校にて英語で各教科を学んでいます。

一方で、子供たちは、日本語の本や漫画が大好きで、貪るように読んでいます。

バイリンガル教育では、人間形成の土台となる母語(日本語)の確立が重要と言われていますが、日本語本の多読が英語教育にどのような影響があるのか。

子供たちの実例から考察してみます。

目次

子供たちの英語と日本語のインプット比重

子供たち

授業では英語、自宅では日本語

我が子は、長男(12歳・小学6年)、次男(10歳・小学4年)、長女(8歳・小学2年)

我が家の子供たちは、フィリピン・セブの私立学校に通い、全ての科目を英語で学んでいます。
日本人の生徒と日本語で話すことはありますが、ほぼ英語漬けです。
ただ、現在、コロナで子供は外出禁止が続いており、オンラインで授業を行っています。(2020年8月以降)

子供たちの通っている学校についてはこちらをご覧ください。

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一方、自宅では、私と妻がともに日本人で、日本語オンリーで生活しています。

コロナ前の学校に通っている時は、朝に学校に行き、夕方迎えにいくまでの間、子供たちはほぼ英語漬けでしたが、今はずっと自宅にいるので、端末を通して授業を受けている間以外は、子供たち同士、私や妻と日本語で話しています。

そのため英語の習得は通学時よりペースダウンしている気がします。

ロックダウンがまだまだ続きそうなので、この辺については、まだ取り上げたいと思います。

それから、毎年、小学校の長期の休み(3月~6月)の3カ月程度は、一家で日本に一時帰国し、実家に住まわせてもらいながら、公立小学校に通っています。
その間は日本語オンリーで生活しています。(今年2020年度はコロナのため帰国していません)

まとめると

  • 英語を使用 ⇒ セブの小学校(平日)
  • 日本語を使用 ⇒ セブの自宅、長期休暇(日本に滞在)

英語を重視する親たちの声

子供たちが以前通っていた小学校の保護者は以下のように話していました。

フィリピン人の母親
「自分たちはローカル言語で育ったけれど、いま家庭では英語だけを話している。子どもの教育のためにそうしようと夫婦で決めた。子どもを私立に入れたのも、外国人の友達をつくり、お友達との普段の会話も英語にさせたいから」

フランス人の母親
「スイス人の夫も私も、子どもには英語で話しかけている。英語を早くマスターさせたいから。フランス語を子どもが全く知らないのは残念だけど、あきらめている」

英語力重視の姿勢が伝わってきますが、我が家では、母語の日本語もしっかり学ぶことが大切と考え、家では、ふつうに日本語を使っています。

というか、私は英語がダメで、日常英会話が多少できる程度。妻は学生時代に留学経験があり、私よりはずっと話せますが、バイリンガルが目標なので上記の2人の家庭のように割り切ってはいません。

英語環境下で日本語の本を多読

本を読む長男

本を読みまくる長男

勤勉イメージ

2014年のセブへの移住当時、子供たちは5歳、3歳、1歳でした。

5歳の長男は、日本にいた頃から本が大好きで、図書館で本や漫画を借りて読みまくっていました。

セブに移住した際、日本から本を100冊程度送っていましたが、長男は1日に1~2冊読み切るため全然足りず、途中で追加注文しました。

日本では、読んだことのない本をいくらでも図書館で借りられました。
セブではそれができないことを残念がりつつ、彼は同じ本を飽きずに何度も読み返していました。

「早くシャワーを浴びなさい」などと声をかけるとしぶしぶ動き出すが、そんな時は本を読みながら歩き、まるで「二宮金次郎」でした。

次男、長女も本好きに

次男、長女も幼稚園の年長組位になると、本好きになりました。

1歳、3歳からセブで育った2人は、幼い頃、日本語の絵本などを毎晩のように読み聞かせしていました。

次男は、長男のように日本語の本をたくさん読むようになり、長女は、2人の兄ほどの読書量ではありませんが、自分から本を読むようになりました。

特に長女は日本に住んでいた期間が短いですが、自宅では日本語を使っていため、日本語の本も抵抗なく受け入れるようになっています。
長期休みに日本に一時帰国したことや、ふだん兄たちと日本語で遊んでいることも大きいと思います。

お世話になった本たち

日本からセブに送った本は、少し古いが中古本で、ちょと古めですが安い本をたくさん買いました。
購入した本は、童話、児童文学、人気のキャラクターもの、漫画などバラエティに富んでいました。

シリーズ物でまとめて購入したキャラクター本は、「忍たま乱太郎」「かいけつゾロリ」など。
漫画は「どらえもん」「日本の歴史」「ナルト」「ベイビーステップ」(スポーツもの)などです。

長男、次男は小学低学年の頃にこうした本を楽しみ、中・高学年になると、子供向けの推理小説や冒険小説などを読んでいます。長女もそれを追っている形で読書しています。

また、毎週土曜に通う日本人補習校でも本を借りることができ、3人とも毎週のように借りていました。

ただ、日本にいる時とは違って本が限られているので、気に入った本は3人とも繰り返し読んでいます。
繰り返し読むことは、語彙を増やす上で役立っていると思います。漫画もネット上も含めてたくさん読んでいますが、語彙を増やす上では、大いに役立っています。

また、本以外では、アマゾンプライムで日本の映画やドラマを観たり、洋画も字幕で楽しんでいます。YouTubeチャンネルも同様に日本語で観ています。

毎年、小学校の長期休みの期間は、一時帰国しており、その間、3人とも図書館の本を好きなだけ読んでいます。

日本語本多読の英語教育への影響

日本語の本

時間をかけて言葉の壁を越えた長男

長男は5歳でセブの幼稚園に入りましたが、その後約1年半にわたって、クラスメイトとのコミュニケーションがおぼつかない状態が続きました。

英会話学校などには行かず、英語力ゼロでいきなり英語環境に入れられたので、戸惑っていたことと思います。

ちょっと乱暴だったかもしれません。長男にとっては選択の余地なかったので、申し訳なかったと思います。

しかし、学校には嫌がらずに行き、授業はちゃんと受けていました。

小学校に入った後、好成績を収め、その頃からクラスメイトと普通にコミュニケーションを取れるようになり、仲良く遊ぶようになりました。

英語環境において、長男は友達作りより、勉強のハードルを先に越えたように思えましたが、日本語の読書が思考力の向上に役立ったのではないでしょうか。

子供たちが学んだ幼稚園や小学校では、日本人のお子さんがいましたが、最初はおぼつかない英語でもクラスメイトの輪の中に入っていくケースが多いように思いました。

セブ移住の経験を本にまとめた妻によると

海外で生活する子どもの経験談をいくつか読み知っていたが、コミュニケーションより先に勉強が周囲に追いつく子の例はなかった。

小学生くらいまでの子が移住した場合、まずは友達とのおしゃべりやじゃれあいに不自由が無くなり、その後、読み書きで少しずつ周囲に追いつくイメージだ。

出典:あなたのお子さんやお孫さんは英語が話せなくて将来就職できますか?

現在(12歳)の長男は、日本の小説投稿サイトに小説を投稿してみたり、次男、長女とともにYouTubeチャンネルを作ったりと、いろいろとトライしています。

これらについては、ほとんどアドバイスもせず、やりたいようにやらせています。

「2つのコップ」~ 日本語多読が英語教育に好影響

マルチリンガル子育てブロガーのワーマン・カエデさんは、「幼いうちに母語を確立させることはとても重要で、母語はすべての言葉の発達の基本になります。母語がしっかりしていないと外国語も身に着きません。」と述べています。

そして、高校生が日本語作文の特訓をした結果、英語の作文力も上がった例を紹介しています。

根気よく複数言語での学習を続けると、1つの言葉が伸びればその力がもう1つの言葉を押し上げお互いを強め合います。
我が家の子ども達はカナダで補習校に通っていました。
息子はどの言語でも作文力が弱かったのですが、高校2年で日本語作文の特訓をすると日本語だけでなく英語の作文力も上がりました。

出典:バイリンガル子育てのための基礎知識用語編

また、海外でグローバル人材育成に取り組んでいる船津徹氏は、バイリンガルの頭の中を2つのコップに例えています。

バイリンガルは頭の中に日本語と英語、2つのコップを持っています。
そして、それぞれのコップが、それぞれの言葉で満たされると、その言葉が口から溢れてきます。話し言葉の発達はコップにインプットされる言葉の量によって決まるということを知ってください。
 
よくバイリンガル環境で育つ子どもは発語が遅いと言われますが、それはコップに溜まっている言葉が少ないからです。
海外生活では両親が気付かないうちに言語環境が希薄になります。
両親は日頃からコップを満たすことを意識して、言葉をかけ、絵本の読み聞かせをしてあげることが大切です。
出典:バイリンガル子育てに大切なこと

2つの話を合わせて考えてみると、長男の場合、日本語のコップが先にいっぱいになり、それが英語のコップのインプット力を押し上げたということでしょうか。

因果関係は明確ではありませんが、日本語の多読が英語教育に好影響を与えていると思います。

1年飛び級した長女の場合

セブに移住して3歳で幼稚園に入った次男は、友達とのコミュニケーションはそれほど苦労せず、小学校に入って勉強も順調にこなしていきました。

一方、1歳で幼稚園に入った長女は年中組の時に1年飛び級しています。
長女も友達とのコミュニケーションはそれほど苦労せず、幼稚園での勉強も順調だったので、担任に飛び級を提案されました。
長男ほどではありませんが、日本語で絵本をよく読んでいたのが、勉強面でプラスになったのではないでしょうか。

ただ、現在(10歳)ですが、長男ほど読書量は多くはないので、長男が同じ年齢の時と比べると、日本語で少し難しい言葉は分からないことが多く、英語での理解力も弱い感じがします。

日本語本の多読は英語教育にプラス? まとめ

日本語の読書について考察しましたが、我が家では、読書も含め日本語のインプットの方が多くなっていると思います。オンライン授業が行われているコロナ下の今はなおさらです。

国際結婚の場合、母子移住の場合など家庭環境によっては、日本語より英語に比重が高くなり、英語の方が強くなるケースが多いように思います、

そして、フィリピンでは、子守り主体のメイド(ヤヤ)さんを雇う家庭も多いですが、メイドさんが子供の世話をする時間が長いと、日本語をインプットする量が少なってしまいます。

また、フィリピンは図書館等の施設が充実しておらず、Amazonなどのネット通販も利用しづらいため、日本語だけではなく、英語に関しても読書環境は不十分です。

フィリピン・セブでのバイリンガル教育を検討する場合は、その辺も考慮する必要があると思います。

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