私は6年前、英語教育のため家族5人でフィリピン・セブに移住し、3人の子供たちは私立小学校に通っています。
今年(2020年)3月に始まったロックダウンで子供の外出禁止が続き、子供たちが通う小学校では8月中旬からオンライン授業が始まりました。
これまで約3カ月オンライン授業が続いていますが、子供たちにとって初めての経験です。
ここでは、良い点、悪い点、3カ月続けてきて色々と見えてきたことをお伝えします。
また、10月にオンライン授業がはじまった公立学校についてなど、フィリピンのオンライン授業の最新情報も合わせてご紹介します。
フィリピン・セブのオンライン授業の状況
公立学校では3種類のツールで授業
フィリピンでは新型コロナの感染拡大によって3月からロックダウンが始まりました。
私立学校の多くは、2020年の8月ごろからオンライン授業をスタートしています。
一方、公立学校は2020年10月5日に授業が始まったようです。
公立学校は当初6月から8月に開校を延長。さらに10月まで再延長されました。
地元紙「SunStar」(10月3日付)では、マニラ首都圏で授業が中断されてから約7か月後、その他の国で2400万人以上の生徒が学校に戻ると報道していました。他の報道などを見ると、セブでも同様の流れのようです。
公立学校では、10月5日から幼稚園から12年生(高校生)まで、学校に行く代わりに自宅で学習します。
これは、コロナウイルスに対するワクチンが利用可能になるまで、対面による授業を禁止するというロドリゴ・ドゥテルテ大統領の命令に基づいています。
DepEd(フィリピン教育省)の学習計画では、3つの主要なツール①モジュラー遠隔学習 ②オンライン遠隔学習 ③TV /ラジオベースの指導が挙げられています。
※DepEd(教育省)のテレビチャンネルのフェイスブック
インターネットを使ったオンライン授業を行い、ネットが使えない地域ではテレビやラジオベースの授業を提供しています。
オンライン授業ができない子供のために、代替の方法を提供するなど、色々と苦労しながら運営しているようです。
また、報道では、セブ市のある中央ビサヤ地方では、今年度は昨年度に比べて公立学校に入学する子供が増えているとしています。
DepEd7の担当者によると、セブの23の私立学校、ボホールの1つ、東ネグロスの1つは、入学者数が少ないために一時的に運営を停止することを余儀なくされたとのことです。
参考:DepEd-Central Visayas: Enrollees in public schools up(Sunstar 2020年10月4日付)
DepEd(教育省)が限定的に対面クラスを準備
また、別のニュースサイトでは、当局DepEd(教育省)が、コロナウイルスの感染が報告されていない地域を対象に、限定的な対面クラスの準備をしていることが報道されていました。
具体的な内容やスケジュールは明らかではありませんが、感染が報告されていない地域となると、今のところかなり限定的になると思われます。
現在、一般の人の移動等はかなり緩和されてきていますが、日本をはじめ他の国と比べて、子供と高齢者に対する制限は、厳しくかつ、長期にわたっています。
子供に対する影響が心配になってきますが、フィリピンは子供の数が多く、ソーシャルディスタンスをとるのが難しいので、厳しくしているのだと思います。
参考:DepEd prepares for limited face-to-face classes(The Philippine News Agency 2020年10月12日付 )
我が子が通う小学校のオンライン授業
私の子供は、長男(小学6年)、次男(小学4年)、長女(小学3年)の3人。
セブの「SACRED HEART SCHOOL–Ateneo de Cebu」(アテネオ)という学校に通っています。
アテネオは幼稚園~高校まであり、3人の子供はGrade School(小学)の授業を受けています。
アテネオでは、8月に入ってから2週間程度の間に親と生徒のオリエンテーションを終えた後、中旬からオンライン授業を本格的に開始しました。
いつまで続くかは、今のところ発表されていません。
オンライン授業は、マイクロソフト社のMicrosoft Teamsを活用しています。
Microsoft Teamsは、コロナ下で大きく注目されているツールです。
オンライン授業は、月曜~金曜 週5日間、朝8時~午後3時まで、休憩をはさみながら授業が行われています。
ライブ映像を使ってリアルタイムで受講する授業と、モジュール(ドリルや教材)などを使った自己学習の2種類を使い分けて授業が行われています。
質問や質問に対する回答は、チャットなどを使って行います。
我が家では、3人が端末を同時に使うため、パソコンやタブレット、スマホなどを総動員して授業を受けています。
私や妻もPCを使って仕事をするので、Wifiを同時に使うことになります。
フィリピンは、インターネットの速度が遅く、ネットが切れてしまうことも頻繁ですが、何とか授業を受けています。
小学校のオンライン授業については、こちらの記事もご覧ください。
子供たちの3カ月間のオンライン授業を見て気づいたこと
オンライン授業は、子供たちにとっても、親にとっても初めてのことなので、授業がちゃんと成り立つのか、しっかりと学ぶことができるのかといった疑問を持ちながら、スタートしました。
学校の方では時間をかけて、周到に用意をしていたようで、授業はネットに関する小さなトラブルはあるものの、スケジュール通りに淡々と進められています。
以下に、子供たちがオンライン授業を3カ月続けている様子を見て気づいたことをご紹介します。
端末を使った操作はすぐに慣れる
オンライン上のコミュニケーションは、私も子供たちもスカイプしか経験ありませんでした。
子供たちは、自分専用のスマホは持っていませんが、パソコンでYouTubeチャンネルを作ったり、親のスマホでネット検索したり、ネットには慣れていたので、初めて使うMicrosoft Teamsにも抵抗感がないようですぐに慣れました。
ただ、中学年(小学3年)の長女は、課題の提出や指定のモジュールがどこにあるかなど、やや分かりにくい部分につまずいて、少しパニックになることがあるので、親の手助けが必要になります。
長女は、セブで幼稚園の時に1学年飛び級しており、年相応の学年は小学2年なので、ついていくのがより大変なのかもしれません。
また、我が家は、私も妻も自宅で仕事をしているので、サポートできますが、親が外に働きにいってメイドさんがサポートしている場合は、大変だと思います。
小学1年、2年の低学年はどのようなカリキュラムになっているか分かりませんが、小さな子供は端末操作に苦労するのではないでしょうか。
英語学習の効果は、通常の授業と比べて下がり傾向
英語学習の効果は、オンライン授業になってから下がっていると思います。
フィリピン・セブの学校では、全ての教科を英語で学びます。
我が家は英語教育のため、そのような教育環境のセブに来ました。
オンライン授業でも英語で学ぶことには変わりありませんが、英語に触れる時間が少なくなったのは確実です。
オンライン授業中は英語で聞き、質問に対しても英語で応える。また、他の子供たちの発表も英語で行います。
一方で、我が家は両親とも日本人で、自宅では日本語を使っています。
授業の合間の休憩、授業が終わった後は、完全に日本語環境となっています。
学校に通い、リアルの授業を行っていた時は、子供たちが学校に着いてから、私たち親が迎えに行くまでの間、ずっと英語環境です。
休息時間や昼休みにバスケットボールなどスポーツを楽しんでいる間もクラスメイトとは英語で話します。
日本人の友達もいますが、日本人だけと遊んでいるわけではないので、基本英語を使います。
オンラインでは、全体として英語に触れる時間が減り、実際、テストなどでも以前より英語力が下がり気味となっています。
これは、日本人でなくても、例えばフィリピン人でも自宅で現地語を話していたら同様だと思います。
小学生がオンラインでは集中力を維持するのは難しい
小学生がオンライン授業で子供が集中力を維持するのは難しいと思います。
その理由としては
- 自分が何をしていても他の人には分からない
カメラやマイクは必要な時以外、オフにしているので、自分が発言している時以外は、先生やクラスメイトからは自分が見えません。
そのため、緊張感に欠けてしまいます。 - パソコンの画面を見る、音声を聞くという形は、集中力が持続しにくい
子供たちの学校では、1コマ50分で1日5コマ程度の授業があります。
パソコン画面上での授業で、50分間集中力を持続するのは、なかなか大変です。 - 授業中に他のものに気を取られてしまう
②と関連しますが、自宅なので、集中力が途切れると、部屋にある漫画やおもちゃなどに手を出してしまうことがあります。
大学生くらいだと、自分で色々と工夫しながら集中できるかもしれませんが、小学生だと、集中させるために注意を促す、環境を整えるなどサポートが必要です。
授業の流れから外れると戻るのが大変
これはオンライン授業特有のことだと思いますが、授業の流れがあって、ネットの不具合や聞き逃し、突発的な理由などで、遅れた場合、流れに戻るために一苦労します。
そのような場合は、チャットなどのツール先生に伝えますが、先生も忙しいので、なかなか直ぐに反応はできません。
また、課題の出し忘れや、テストを受けるのに遅れた時なども、それを先生に伝え、遅れた部分を取り戻すのが、通常の授業よりも苦労します。
まとめ
英語学習の効果が落ちている傾向があるので、オンライン授業が続くようだと、何か考えなければならないかもしれません。
ただ、親と子供たち両方にとっての大きなメリットとして、送迎の時間がなくなったことがあります。
これにより、親子で映画を観たり、自分たちの好きなことができる時間が増えました。